お戒壇(おかいだん)巡り
数年前、偶然ラジオから流れてきた、パーソナリティーの話を聴き
「是非行って見たい」と思ったのがきっかけでした。
夏休みの予定として長野の善光寺を訪れてその後
美しい棚田を見に行きたいとのことでした。
善光寺には「お戒壇巡り」というものがあります。
それは、瑠璃壇(本堂)の床下にある真っ暗な回廊を巡る体験です。
真っ暗な地下回廊を壁伝いに進み、
ご本尊が安置されている真下にある「極楽の錠前」に触れることで
本尊とのご縁を結び、極楽往生を約束される——そう伝えられています。
「行って見たい!」
暗くて狭いところはかなり苦手で
「え?本当に大丈夫、私??」と思いながらも、
好奇心が勝ってしまい、行くことにしました(汗)
善光寺は、特定の宗派に限らず、
すべての人を受け入れてくれる懐の深い、荘厳なお寺です。
地元の方だけでなく、全国から多くの人々の信仰を集めています。
度重なる火災や戦乱の世を経て、何度も建て替えられてきた
由緒あるお寺でもあります。
その本堂の奥を右に折れ、階段を降りるとほどなく真っ暗闇になります。
右手は壁伝いに、絶対に壁から離れないように、ゆっくりと進みます。
最初の説明でも
「暗いですが、携帯電話は使わないでください」
と注意されているため、
ほのかな光さえ一切ない、漆黒の闇です。
進んでいる方角もわからず、不安が募ります。
前にも後ろにも人がいるはずなのに、
何も見えず、ただ右手に触れる壁だけが頼りです。
そんな中、「・・あった!」「触れた!」という声が前の方から聞こえてきました。
ああ、もうすぐ極楽の錠前に触れることができるのだと少し安堵しました。
錠前をありがたく触らせていただき
ご本尊様に感謝しつつ歩みを進めるとぼんやり出口の薄明かりが見えてきました。
今の時代、
これほど完全な暗闇を体験することは、
なかなかないのかもしれません。
ほんの数分の真っ暗闇の世界でしたが
もしそれが長く続いたとしても、
やがて明るい光があると思えば
人は歩き続けられるのかもしれない。
お戒壇巡りは、
単なるアトラクションではなく、
本来、そうした意味合いを持つ体験なのだと思いました。
